【投資信託】何を基準に選べばよいか?

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資産運用

当記事ではこれから投資信託で積み立てを始めようとしているけど、何を見て選べばよいか分からないという方へ向けた内容となります。投資信託を選ぶ幾つかの基準について記載していますので、是非、当記事をご参考いただければと思います。

投資信託を選ぶ基準について

これから初めて投資信託で積み立てする場合、投資信託の商品数が多くて何を基準に選択すれば良いか分からないと思います。

ということで、まずはどのような基準があるのか、それぞれどの程度参考にすべきかをご紹介します。

一般的に以下が基準とすべき点だと思います。

投資信託を決定する際に基準とすべきポイント

  • 信託報酬
  • 実質コスト
  • 販売手数料
  • 信託財産留保額
  • 純資産額
  • 基準価額
  • ベンチマーク
  • シャープレシオ

特に重視すべきは、信託報酬実質コスト純資産額、ベンチマークになるかと思います。

早速ですが、次にそれぞれの基準の観点を記載いたします。

【投資信託を選ぶ基準①】信託報酬について

まず最初に信託報酬についてです。

信託報酬とは投資信託を保有している間、保有している投資ファンドに対して支払う費用のことです。つまり投資信託を保有し続ける限り必要なコストとなります。(投資ファンドの運用成績に関わらず、保有している限り発生するコストとなります。)

ということは、信託報酬は安い方が良い、ということになります。

この信託報酬は投資信託の商品ごとに定められていますので、安いもの、高いものを選ぶのは自分自身で選択することになります。

いわゆるランニングコスト的な存在になるので、当然信託報酬は安いものを選択すべきとなります。

なお、信託報酬というのは安いと投資ファンドの運用成績が良くなる・悪くなるというものではなく、投資先が何かにより左右されます。投資先が何かというのは、例えば日本(株、債券)への投資、米国(株、債券)への投資、新興国(株、債券)への投資、全世界(株、債券)への投資、不動産(国内、米国等)への投資、など様々です。

最近の傾向であれば、信託報酬の安さは、米国・日本・全世界(株、債券)へ投資を行っている投資ファンドの信託報酬が安く、新興国、不動産へ投資を行っている投資ファンドの信託報酬が比較的高い傾向にあります。また、日本国内でも分配金を出す不動産系の投資信託は比較的高い傾向にあります。

その他にもベンチマーク(ベンチマークについては後述)に沿うような運用成績を目指すパッシブ運用や、ベンチマークを上回る成績を目指しているアクティブ運用と呼ばれる運用方法があり、アクティブ運用を行っているファンドは信託報酬が高い傾向にあります。貯金するより投資、投資するなら手数料は支払いたくない、という場合はこの信託報酬は意識すべき点になります。

なお、信託報酬はファンドの純資資産残高から信託報酬率を乗じた金額が費用として差し引かれることになります。

ご参考までに信託報酬別にざっくりでどれくらいの費用が掛かるか目安を表にしてみましたのでご参考ください。

例)投資額100,000円分(基準価額10,000円)で信託報酬がそれぞれ0.10%、0.50%、1.00%だった場合

保有年数信託報酬
0.10%
信託報酬
0.50%
信託報酬
1.00%
1年100円500円1,000円
5年500円2,500円5,000円
10年1,000円5,000円10,000円
20年2,000円10,000円20,000円
30年3,000円15,000円30,000円

当然ですが純粋に信託報酬が高いほど支払う費用は高くなります。また積み立て額が増えれば増えるほど、その分の費用も積みあがっていくことになります。なので信託報酬は安い方が圧倒的に有利となります。

・信託報酬は商品により異なる。

・信託報酬は安い方が有利。                            (同じ条件、似たようなファンドなら絶対に安いものを選ぶべき!!)。

・投資信託にはパッシブ型とアクティブ型がある。パッシブ方の方が信託報酬は安い。

・安いもので0.06%、高いものは1%超となるものもある。投資額が大きくなるほどその差は大きくなる!!

・長期で見た場合、信託報酬が低い方が資産成績が良い結果になる可能性が高くなる。

【投資信託を選ぶ基準②】隠れコスト

投資信託を保有すると、信託報酬に加えて隠れコストという費用が掛かります。また費用が掛かるのかという思われるかも知れませんが、これも重要な基準になります。

この隠れコストは、投資ファンドの売買費用等のよる諸費用のことで、信託報酬と隠れコストが実際に掛かる費用(=これを実質コストと呼びます)になります。

例えば証券会社で投資信託の商品を選ぶ際に信託報酬は表示されていますが隠れコストはほぼ表示されていません。なので何も知らぬ内にひっそり隠れコストも差し引かれている、ということになります。

ただし、この隠れコストというのは基本的には信託報酬より安く、例えば信託報酬0.10%のファンドなら約0.03~0.06%くらいになっているものがほとんどです。この隠れコストは運用成績によって変動しており、購入したい投資ファンドの「運用報告書」にしっかり記載されているので自分で調べることが可能です。

ということで隠れコストもあるということは理解しておきましょう。

・投資信託には信託報酬に加えて隠れコストも費用として掛かる。

・実質コストは運用報告書に記載されているので気になる場合は見てみましょう。

・投資信託を費用で比較する場合は実質コストで比較するのが良い。

※個人的にですが、各証券会社は実質コストで費用を表示しておいてほしいなーと思います。隠れコストは運用成績によって変動するので正確な率では出せないのかもしれないですが、投資者が知りたいのは実質コストだと思います…

【投資信託を選ぶ基準③】販売手数料

続いて販売手数料についてです。

これはその名のとおり、投資信託の購入時に掛かる手数料です。これは投資信託の販売会社ごとに設定されているものとなります。最近のネット証券ではこの販売手数料を無料(ノーロードという)としているため、当手数料は支払わなくても購入が可能です。銀行等で投資信託を購入する場合は、この販売手数料を取られてしまいます。ちなみに購入額の1%~3%もの販売手数料となる事が多いので購入する際はネット証券で買いましょう。

ちなみに現在は、販売手数料は無料で購入できるのが当たり前の時代です。なので「販売手数料無料」、「購入時手数料無料」、「ノーロード」とアピールしているようなファンドは何もアピールになっていなくて、逆に言うとそれしかアピールポイントがないファンドなの?というくらいの気持ちで投資信託を選択しましょう。

・販売手数料を支払う必要のないネット証券で投資信託を購入しましょう。

・ネット証券で投資信託を購入するのであれば販売手数料は意識不要!

【投資信託を選ぶ基準④】信託財産留保額

これは一言で言うと投資信託の解約手数料です。

手数料といいながら販売会社に取られるものではなく、本来、投資信託を途中解約することに伴うペナルティとなる費用になるので投資信託の商品ごとに設定有無があります。

当然のことながら、投資資金はいつ必要になるか分からないのでいつでも無料で解約できる商品を選ぶべきとなりますね。人気のある投資信託ではこの信託財産留保額を設定していないので安心して投資することが可能です。

そもそも自分が積み立てたお金なのに、解約する時に手数料を取られるなんでおかしい!という発想をもって投資信託を選びましょう。

・信託財産留保額は解約時に差し引かれる費用のこと。

・当然ですが、信託財産留保額を設定していない投資信託商品を選びましょう。

【投資信託を選ぶ基準⑤】純資産額

続いて純資産額です。

これはその投信ファンドで保有している資産の総額の事を指します。一般的に多ければ良い少ないと良くないとされていますが、重要なのは純資産額の多い少ないではなく、純資産額が継続して増加しているか否かになります。

純資産額が多くても減少していると運用成績が悪い、人気が無く解約が相次いでいる等の理由が考えられます。また投資信託商品にもよりますが、純資産額がある一定額を下回った場合は最悪の場合、繰上償還といって運用が停止され、強制的に損益の確定がなされてしまいます。

こうなってしまうと、もともと資産形成のために積み立て投資を開始したにも関わらず、目的を果たせなくなってしまいます。

なお、純資産額は30憶以上あることが目安となります。これを下回るような投資商品は常にリスクが伴いますので十分に注意して投資を行う必要があります。

・純資産額は継続して増加している投資信託商品を選ぶこと。

・最低でも30憶以上のものを選ぶこと。

・あえて不人気な投資ファンドを選ぶ必要はありません・

【投資信託を選ぶ基準⑥】基準価額

これは投資している商品の現在価値を指します。

投資信託を購入する場合は、この基準価額を購入時価格として購入することになります。例えば基準価額が10,000円の場合、10,000円で10,000口購入することが可能(基準価額10,000円÷資金10,000円×10,000=10,000口)です。

投資信託を保有している場合は、基準価額×保有口数÷10,000で自分自身の保有している投資信託の価値が分かります。

投資信託で資産形成を行う場合、いかに多くの口数を保有して、いかに高い基準価額になるかで資産の増減が決まります。ただし、基準価額が高くなると同じ投資金額で購入可能な口数が減り、また将来の基準価額の増減は誰にも予測できません

過去、ずっと基準価額が右肩上がりであったとしても、今後の将来もずっと右肩上がりかどうかは誰にも分かりません。

ということは基準価額の将来予測はできないので、それでは同様の商品なら口数をより多く増やせる投資商品=つまり基準価額が低い商品へ投資をすれば良いのではと思うかもしません。これは結論から言いますと、そうでもありません。

例えば、基準価額が10,000円と15,000円の投資信託でそれぞれ年利約5%の運用利回りの成績を上げる商品へ毎月10,000円投資したとします。そのシミュレーション結果は以下です。

<基準価額10,000の場合>

月数基準価額購入口数総口数資産評価額積立金額利益(含み益)利回り
110,00010,00010,00010,00010,00000.00%
210,0909,91119,91120,09020,000900.45%
310,1819,82229,73330,27130,0002710.90%
410,2729,73539,46840,54340,0005431.36%
510,3659,64849,11650,90850,0009081.82%
610,4589,56258,67861,36660,0001,3662.28%
710,5529,47768,15471,91970,0001,9192.74%
810,6479,39277,54782,56680,0002,5663.21%
910,7439,30886,85593,30990,0003,3093.68%
1010,8409,22596,080104,149100,0004,1494.15%
1110,9379,143105,223115,086110,0005,0864.62%
1211,0369,061114,285126,122120,0006,1225.10%

<基準価額15,000円の場合>

月数基準価額購入口数総口数資産評価額積立金額利益(含み益)利回り
115,0006,6676,66710,00010,00000.00%
215,1356,60713,27420,09020,000900.45%
315,2716,54819,82230,27130,0002710.90%
415,4096,49026,31240,54340,0005431.36%
515,5476,43232,74450,90850,0009081.82%
615,6876,37539,11961,36660,0001,3662.28%
715,8286,31845,43671,91970,0001,9192.74%
815,9716,26151,69882,56680,0002,5663.21%
916,1156,20657,90393,30990,0003,3093.68%
1016,2606,15064,053104,149100,0004,1494.15%
1116,4066,09570,149115,086110,0005,0864.62%
1216,5546,04176,190126,122120,0006,1225.10%

上記のとおり利益(含み益)はいずれも同じ6,122円となりました。大きな違いは購入口数です。当然ながら基準価額が安い方が口数は多く買えるので基準価額が安い方が口数の観点では有利になります。ただし、口数は多く変えるものの基準価額が安いので総資産評価額としては同じになります。

つまり、基準価額の増減率が同じ投資信託なのであれば同じ投資結果が得られることになります。

ということは、投資先ファンドの投資成績により資産評価額に差が出ることになると言えます。投資先ファンドの成績差が出る内訳としては、投資先の違い、投資先比率の違い、手数料の違いが最終的に基準価額に影響することになります。ただし、投資先の違いや投資先比率の違いによる将来の投資成績の差は誰にも予測不可能です。現時点で予測可能なのは手数料の差の分だけ投資成績に影響がある、ということだけです。

・基準価額が高いと購入口数は少なく、逆に基準価額が低いと購入口数は多くなる。

・基準価額の増減は予測不可能。

・投資先が同じような投資信託では基準価額の高い、低いは資産額に与える影響は少ない。

・基準価額の高い、低いは深く考える必要はない。

【投資信託を選ぶ基準⑦】ベンチマーク

ベンチマークとは投資ファンドが何をベースとして運用を行っているか、という基準を示すものです。例えば日経平均をベンチマークとする商品であれば、日々の日経平均の増減と同じような運用成績を目指すということになります。

つまりベンチマークが何かを意識する必要があります。

しかしながらこのベンチマークへ投資すれば問題ない、というものは残念ながら存在しません。日本株へ投資したいのなら日経平均やTOPIX、米国株へ投資したいならS&P500といったベンチマークというような感じで、自分自身が投資したい投資先が何かを選択する必要があります

これは結局、どこへ投資したいかにより選択しないといけません。

日本と信じるか、米国を信じるか、それとも世界を信じるか、等々です。

あと、参考としてはベンチマークとの乖離率というものが存在します。以下のようにファンドが投資ファンドの運用成績、インデックスがベンチマークの運用成績となります。

❝楽天証券 楽天・全米株式インデックス・ファンドの月次レポートより

これは投資ファンドの運用成績とベンチマークとの乖離を表すものです。「ファンド=インデックス」の場合、投資先ファンドの運用成績はベンチマークと同じ、「ファンド>インデックス」ならベンチマークより上回る投資成績である、その逆なら下回る運用成績である、ということになります

ただ、あくまでもこれも過去の成績ということになりますので将来を予測するものではありません

・ベンチマークは投資先の指標が何かを表すもの(つまり自分自身が投資する投資先)。

・ベンチマークにより運用成績が変わるが、将来の成績については予測不可能。

・ベンチマークを上回る運用成績を上げている投資ファンドは優秀であるが将来の運用成績を保証するものではない。

【投資信託を選ぶ基準⑧】シャープレシオ

最後にシャープレシオについてです。

シャープレシオとは、リスクに応じてどれくらいの運用成績を上げることができたかという、リスクに対する投資効率を示す基準となります。この値が高いほど投資ファンドの投資効率が良かったということになります。

例えば投資ファンドAと投資ファンドBにおいて、シャープレシオが投資ファンドAの方が高い場合、投資ファンドAの方が投資ファンドBに比べて低いリスクで高い運用益を上げることができたと判断できる指標になります。

この指標についても、単純に考えると類似商品がある場合は高い方を選択すれば良いということになりますが、これもあくまでも過去の数値となります。なので将来を保証するものではありません。

・シャープレシオを見れば、ファンドの投資効率の良い悪いを比較できる。

・類似商品の場合、過去においてはシャープレシオが高い方が良い投資効率を上げていたということになる。

・シャープレシオはあくまでも過去の投資効率を示すものであるため将来の投資効率を保証するものではない。

最後に・・・

いかがでしたでしょうか。相当な数ある投資信託の中からどの商品を選定すれば良いかを判断する基準を挙げてみました。

基準の中には過去、このような結果であったという内容であり将来の運用成績を保証するものではないものもありますが、過去こうだったから将来もこうなるだろうと参考にする方もいるかもしれません。

このあたりは自分自身が判断しなければいけません。

現時点で確実に言えることは、それは【手数料】です。信託報酬は予め定められているので手数料については将来いくら要するのかを把握することが可能です。投資ファンドの運用成績が同じファンドが複数ある、将来の投資ファンドの運用成績が予測できないのであれば、手数料が少ない投資ファンドを選択するのが賢明な選択と言えます。繰り返しになりますが、運用成績は誰にも予測できません

つまり間違いなく言えることは、信託報酬の安い投資ファンドを選択することが現時点での最適解となり得ると言えます。

間違っても手数料を不要に支払うことの無いようにすべきです。

近年では信託報酬が安い投資ファンドは圧倒的に人気があり純資産額はそれに比例して大きく増加しています

これから投資信託で積み立て投資を始める方は、そのような投資ファンドを選択するようにしましょう。そのためにも、ネット証券での購入をオススメします。

ということで、以上、投資信託では何を基準に選べばよいか?という記事でした。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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