投資信託を保有するにあたり、たくさんある中でどの証券会社のどの商品を選択するのが良いか迷うことがあると思います。
投資信託は保有しているだけで信託報酬というコストが掛かりますが、これは商品によって違いが発生するものであり、購入した証券会社の影響は受けません。
他にはA証券には取り扱いがあるがB証券では購入できない、という点もありますが、最近ではこれについても大きな大差はありません。
※最近人気のSBI・バンガード・S&P500インデックスファンドに関しては楽天証券では購入できません。
では「何を基準に選択するのか?」というところですが、以下に尽きると考えています。
- 付随サービスの違い
付随サービスとは、証券会社により投資信託の保有残高によりポイント還元を受けることができる、クレジットカードで投資信託を購入することでクレジットカードのポイント還元を受けることができる、等の証券会社独自で行っているサービスを指します。
要は投資信託商品特有のコストを下げることはできないけど、証券会社のポイント還元サービスを利用して実質的にコストを下げることは可能です。
ということで投資信託を保有するだけで経費が掛かるので、その経費とポイント還元を考慮して、どの証券会社が最もメリットがあるのかを調べてみました。
なお、今回は楽天証券に関しての記事となります。
付随サービスによるポイント還元率をチェック
早速ですが、保有残高によるポイント還元サービスの内容とその還元率を整理します。
ここで記載するのは2021年5月3日時点の内容であり、将来、ポイント制度の変更等発生し得ますのでご注意お願いします。
楽天証券のポイント還元サービス
ハッピープログラムのエントリー状況、および投資信託の残高に応じて毎月楽天ポイントが貰えます。貯まった楽天ポイントはポイント投資に使用することが可能です。
①ハッピープログラムにエントリー済の場合
保有残高10万円ごとに4ポイント還元(保有残高の上限無し)
※ハッピープログラムとは楽天銀行で受ける事ができるポイント等の優遇プログラムの事を指します。楽天証券と楽天銀行を連携することで楽天証券の取引においてもポイント還元サービスを受けることが可能となります。
②ハッピープログラムにエントリーしていない場合
保有残高により異なります。
50万円以上~ 200万円未満: 50ポイント
200万円以上~ 400万円未満: 100ポイント
400万円以上~ 600万円未満: 150ポイント
600万円以上~ 800万円未満: 200ポイント
800万円以上~1000万円未満: 300ポイント
1000万円以上~2000万円未満: 500ポイント
2000万円以上 :1000ポイント
※上記はいずれも保有残高での判定となります。評価額での判定ではありません。まだiDeCoは対象外です。
具体的な還元ポイントは以下のとおりです。ポイント還元率が有利になる方を赤字にしています。
保有残高 | ハッピープログラム加入時 | ハッピープログラム非加入時 | ||||
月 | 年間 | 年利 | 月 | 年間 | 年利 | |
10万円 | 4 | 48 | 0.048% | 0 | 0 | 0.000% |
20万円 | 8 | 96 | 0.048% | 0 | 0 | 0.000% |
30万円 | 12 | 144 | 0.048% | 0 | 0 | 0.000% |
40万円 | 16 | 192 | 0.048% | 0 | 0 | 0.000% |
50万円 | 20 | 240 | 0.048% | 50 | 600 | 0.120% |
60万円 | 24 | 288 | 0.048% | 50 | 600 | 0.100% |
70万円 | 28 | 336 | 0.048% | 50 | 600 | 0.086% |
80万円 | 32 | 384 | 0.048% | 50 | 600 | 0.075% |
90万円 | 36 | 432 | 0.048% | 50 | 600 | 0.067% |
100万円 | 40 | 480 | 0.048% | 50 | 600 | 0.060% |
200万円 | 80 | 960 | 0.048% | 100 | 1200 | 0.060% |
250万円 | 100 | 1200 | 0.048% | 100 | 1200 | 0.048% |
300万円 | 120 | 1440 | 0.048% | 100 | 1200 | 0.040% |
400万円 | 160 | 1920 | 0.048% | 150 | 1800 | 0.045% |
500万円 | 200 | 2400 | 0.048% | 150 | 1800 | 0.036% |
600万円 | 240 | 2880 | 0.048% | 200 | 2400 | 0.040% |
700万円 | 280 | 3360 | 0.048% | 200 | 2400 | 0.034% |
800万円 | 320 | 3840 | 0.048% | 300 | 3600 | 0.045% |
900万円 | 360 | 4320 | 0.048% | 300 | 3600 | 0.040% |
1000万円 | 400 | 4800 | 0.048% | 500 | 6000 | 0.060% |
1250万円 | 500 | 6000 | 0.048% | 500 | 6000 | 0.048% |
2000万円 | 800 | 9600 | 0.048% | 1000 | 12000 | 0.060% |
2500万円 | 1000 | 12000 | 0.048% | 1000 | 12000 | 0.048% |
3000万円 | 1200 | 14400 | 0.048% | 1000 | 12000 | 0.040% |
上記のとおり、ハッピープログラム加入時は10万以上からポイントが付与されるので、投資を始めたての方はお得です。一方でまとまった金額を投入できる方は非加入の方がメリットがあります。
実際は普通のサラリーマンなら毎月数万円を積み立てするのが現実的かと思います。なのでハッピープログラムに加入しておく方がお得です。そうすることで年利で0.048%の還元を受ける事ができますね。
ハッピープログラムに加入する条件を満たすことで、楽天銀行の預金の金利もUPすることができますので、二重でお得です。
楽天カードによるポイント還元率
楽天カードでは、100円につき1ポイントの還元を受けることができます。その楽天カードで投資信託の購入が可能です。
つまり、常に1%分のポイントを貰えるので楽天カードで投資信託を積み立てすれば、年利1%分のポイントを得ることが可能です。
当然ここで得たポイントは再度投資信託の購入に使用可能です。
月1万円を楽天カードで積み立てを行えば、年間で1,200円分のポイント還元を受けることができるので、全ポイントを再投資すればこれだけで年利1%の運用が行えることになります。
ポイント還元を組み合わせて実質的な経費率を下げることが可能
前述のポイント還元サービスを利用することで、利回りの向上=実質コストを下げることが可能となります。
投資信託の人気商品に対して実際のコストをどれだけ下げることが可能か整理してみました。
投資信託で人気のある商品をもとに、ハッピープログラム加入時と楽天カード利用時、さらに併用した場合それぞれについて記載します。
ハッピープログラム加入時
ポイント還元率は一律0.048%(投資信託残高10万円以上保有)なので、その分の実質的なコストを下げることが可能です。
商品 | 信託報酬(※) | 実質コスト(※) | ポイント還元率 | ポイント還元を加味した実質コスト |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.2120% | 0.261% | 0.048% | 0.213% |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.1620% | 0.209% | 0.048% | 0.161% |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.1144% | 0.204% | 0.048% | 0.156% |
eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 0.1023% | 0.174% | 0.048% | 0.126% |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.0968% | 0.141% | 0.048% | 0.093% |
(参考)SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド | 0.0938% | 0.114% | – | – |
楽天カードによる積み立て時
楽天カード利用時は、1%ポイント還元になりますので超強力です。
商品 | 信託報酬(※1) | 実質コスト(※1) | ポイント還元率 | ポイント還元を加味した実質コスト(※2) |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.2120% | 0.261% | 1% | 0(0.739%) |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.1620% | 0.209% | 1% | 0(0.791%) |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.1144% | 0.204% | 1% | 0(0.796%) |
eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 0.1023% | 0.174% | 1% | 0(0.826%) |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.0968% | 0.141% | 1% | 0(0.859%) |
(参考)SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド | 0.0938% | 0.114% | – | – |
※2実質コストがマイナスになることはありません。()の中身は実質コストを差し引いた後のポイント付与率を記載しています。
ハッピープログラム+楽天カード併用時
楽天証券で最強となる組み合わせです。これで1.048%のポイント還元を受けることが可能になりますので、投資信託を保有することによる実質コストは0円とすることが可能です。
商品 | 信託報酬(※1) | 実質コスト(※1) | ポイント還元率 | ポイント還元を 加味した実質コスト(※2) |
楽天・全世界株式インデックス・ファンド | 0.2120% | 0.261% | 1.048% | 0(0.787%) |
楽天・全米株式インデックス・ファンド | 0.1620% | 0.209% | 1.048% | 0(0.839%) |
eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー) | 0.1144% | 0.204% | 1.048% | 0(0.844%) |
eMAXIS Slim先進国株式インデックス | 0.1023% | 0.174% | 1.048% | 0(0.874%) |
eMAXIS Slim米国株式(S&P500) | 0.0968% | 0.141% | 1.048% | 0(0.907%) |
(参考)SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド | 0.0938% | 0.114% | – | – |
※2実質コストがマイナスになることはありません。()の中身は実質コストを差し引いた後のポイント付与率を記載しています。
楽天証券で投資信託を積み立てるなら楽天カード+楽天銀行もセットがお得
楽天カードで積み立てを行うだけで利回り1%をあげることが可能であることが分かりました。
積み立て投資は一度選んだ商品をひたすら積み立てていくだけの投資方法です。となると投資利回りは自分でどうしようもなく、選んだ商品により決定してしまうことになります。
なので少しでも利回りを上げる、そのために安い経費率の商品を選び、付随サービスを徹底利用するのが圧倒的に得となります。
そうすることで、超低コストとなる「SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド」より実質的なコストも下げることが可能ですね。
楽天証券ならこの恩恵を最大限にすることが可能です。
投資信託を選ぶ際には経費率に加えて積み立てする証券会社の付随サービスにも注目してみることをオススメします。
ということで今回は以上です。最後までお読みいただきありがとうございました。